男三人、低気圧の旅
今月の末、京都へ行く。一泊二日。
2006年以来だから、ずいぶん間が空いた。
本当は「水入らずの旅」と書きたい。
けれど、そんな相手はいない。
寒暖差とか、ガソリンの値上がりとか――
いろいろ理由を並べても、玄関の温度はやっぱり低い。
――まあ、そんなことはどうでもいい。旅の話だ。
月に一度、互いの白髪を笑い合う、男三人が同行する。
カジワラと、ハラダと。
ネット嫌いのカジワラが、
新聞の折り込みチラシを広げた。
「酔い新幹線プラン、京都一泊二日。二万四千円だ」
なにが酔い新幹線だ。
ひとまず笑って流したが、酒の勢いで
つい検索してしまうあたり、どうにも性が出ている。
結局この日の定例会では決まらなかった。
こういうときは、主婦力の高い0930に訊くのが早い。
ポストペットのイエローページで知り合った、
どこか台所の匂いのする既婚の女性。
いまはYahoo!メッセンジャーで、たまに言葉を交わす。
「もっと安いとこ、ない?」
チャットの向こうの0930が、すぐにURLを送ってくれる。
そんな、ささやかな流通がある。
彼女が見つけてくれたのは、静岡発のツイン。
新幹線込みで一万六千三百円。
安いというのは、それだけで正義だ。
それにしても、こういう格安を
すぐ見つけてくれる0930は、やっぱりすごい。
「京都へ行く」――その一言だけで、少し背筋が伸びる。
寺が好きなわけでもないのに、
地名の魔法というやつだろう。
六月には家族で奈良へも行く予定だ。遷都1300年らしい。
節目という言葉に弱いのは、日々の退屈を
何かでなぞってみたくなるからだ。
それもまた、ありがたい。
けれど、男三人の京都には、また別のありがたさがある。
夜の木屋町あたりでくだらない話をして、
飲みすぎて、翌朝を悔やむ。
繰り返し、繰り返し。
なにが「酔い新幹線」だ。
乗った瞬間から、もう二日酔いである。
それでも、行き先があるというだけで、
少しだけ、生きている気がする。
ラベル: 長い文章

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